医療事情

ケベック州保健・社会サービス省からの情報

2月20日,伊澤総領事はケベック州保健・社会サービス省の方々と意見交換をしたところ,特記すべき点は以下のとおりです。また,その際に使用されたケベック州の保険制度に関する説明資料は,こちら(説明資料①説明資料②)からご覧頂けます。

(1)ケベック州では,当省が「保健」と「社会サービス」の両方を所掌しており,このことは他州ではあまり見られないケベック州特有な点である。当省及び管轄公的機関で約1,000名が勤務しており,公的・私的な医療・社会サービス従事者まで含めれば州内労働人口の6.7%(約55万人)が従事している。

(2)かつては保健・社会サービス統合センター(CISSS/CIUSSS)やケベック州医療保険機構等の医療関連機関は,それぞれ独自のミッションを有しており,ある程度独立して機能していたが,多重行政やガバナンスの問題から2015年以降は当省大臣をトップとした指揮監督システムが構築されており,医療関連公的機関の長は大臣によって任命される等指揮系統の明確化が図られた。

(3)当省は,保健・社会サービス分野での戦略プラン(上記リンク)を策定しており,定期的に見直しを行っている。現プランは2020年までの目標を定めている。「健康問題の予防」,「統合された質の高いサービスの提供」と「先進的且つ効果的な医療機関の設置」という3本柱を軸に感染症予防,高齢者ケア拡充,緊急医療体制の整備等の取組を進めている。

(4)(総領事より,ケベック州における公立・私立病院における負担額について問うたところ,)基本的にケベック州民であれば,公立病院における医療は無料で受けられる。他方,眼鏡,処方箋,在宅介護,セラピーや歯科の場合は,例外はあるものの原則自己負担となる。私立病院は,州保険制度の枠外であるため,基本的に全額自己負担となる。

(5)(総領事より,保健・医療サービスは外国人移住者にとっては死活的な問題であるので,在留邦人に適切な医療を提供する観点からも貴省戦略プランの中で外国人向け情報発信にも力点を置いてほしい旨述べたところ,)テイクノートする。現在も既に例えば移民省のウェブページで外国人向けの州保険制度の紹介をしていたり,また,当省でも言語にもよるが通訳者手配のサービスも行っている。