平成30年度天皇誕生日祝賀レセプションにおける伊澤総領事スピーチ(和訳)(2018年11月23日)

 皆様,天皇誕生日祝賀レセプションにようこそいらっしゃいました。在外公館長として,私にとって今回のレセプションは最初で,かつある意味で最後のものとなります。といいますのも今上天皇が4月30日に退位されることで平成の時代が終わり,皇太子殿下が日本の歴史の新たなページを開かれることになるからです。皆様と今夜,この日本の新しい時代の前触れとなる歴史的なひとときを一緒に過ごせることを大変嬉しく思います。

 自分の考えでは,この新しい時代は日本の第3の開国とともにやって来ます。第1の開国は19世紀半ばの明治維新にさかのぼります。第2の開国は第二次世界大戦が終わり,日本が国際社会に復帰した時でした。

 第3の開国は全く違った性質のものとなります。今日,日本は唯一且つ人類で初めて高齢社会に突入しています。人口は減少し始め,高齢化は社会の活力を損なうかも知れません。これは我々の社会にとって非常に大きな課題です。この歴史的難題を克服するには,国際社会に一層参画し交流を積極的に行うことで我々の成長を支えていくしかありません。

 日本のこの第3の開国は,複数の段階を経て行われます。1つ目が最も重要です。日本人の心が自分達と異なる考え方にオープンになり,そしてそれを受容できるようになるために交流を強化することです。日本人は徐々に外国人の存在を受け入れ,隣人として共に暮らしていく覚悟ができつつあります。

 この観点から,今後数年間は我々にとって又とない絶好の機会となるでしょう。この期間,日本では2019年のラグビーワールドカップ,2020年の東京オリンピックを含む数々の国際スポーツ競技大会が開催されます。そしてつい今朝がた,2025年国際博覧会の開催地に大阪が選ばれました。これらのイベントは,我々のこれからの歩みに大きなインパクトを与えるでしょう。

 これらのイベントを機に,日本政府は2020年に4,000万人の観光客を誘致するという野心的な目標を掲げています。4,000万人というと日本の人口の4分の1にあたります。既に日本はたった5年間で,訪日外国人旅行者数を3倍(約3,000万人)に増やすことに成功しています。今日では,外国人観光客は日本の至る所に足を運んでいます。交流が地元の経済に活力を与え,全ての地方がその恩恵を受けるに違いありません。

 私は,日本とケベック州,モントリオール市の関係をこの歴史的文脈の中で捉えたいと思っています。より多くのカナダ人がこの機に日本を訪れてほしいと願っているのです。その点,エアカナダのモントリオール・東京直行便就航は幸先の良いものです。同時に直行便によってより多くの日本人がケベック州を訪れていることが既に確認されています。

 日本に一度でも足を踏み入れたら,優しさ,おもてなしの心,自然の美しさ,食文化といった日本の数々の魅力を発見することができるでしょう。今夜は私の料理人が豚の角煮を皆様にご用意しました。もう一人の料理人は寿司の実演を行います。またJET(Japan Exchange and Teaching Programme)プログラム参加者と京都府立嵯峨野高校の生徒が制作したビデオも是非ご覧ください。彼らが日本とケベック州での体験を語ります。

 人的交流を増やすことは経済関係にも良い影響を与えます。最初の海外経済ミッションとなったプラント・モントリオール市長の日本訪問は,大歓迎されました。日本の企業は,モントリオールで急成長中の人工知能(AI)分野や生命科学分野に高い関心を示しています。これらは,どちらも日本を立て直す可能性を持った分野です。

 G7が開催された本年,年間を通してご協力頂いたケベック州政府にこの場を借りて御礼申し上げます。皆様ご存知のとおり,今年は数々の日本の要人がケベック州を訪れました。これ以上日本から人をお呼びすることはなかなか難しいので,今度は(ご列席の)ジロー・ケベック州国際関係・仏語圏大臣に是非来年日本を公式訪問して頂きたいと思っています。

 最後に,この素晴らしい会場の使用をお許しくださった国際民間航空機関(ICAO)の関係者の皆様に感謝申し上げます。

 素晴らしい夜をお過ごしください。

在モントリオール日本国総領事
伊澤 修