齊藤総領事挨拶(メールマガジン7月号)

令和5年8月21日

皆さまこんにちは、

どうにも天候不順で、せっかくの夏をスカッと楽しめない日々が続いています・・・。世界各地から入ってくる猛暑のニュースを見るにつけ、モントリオールはまだマシな方だと考えるようにしているところです。そうはいっても街ではfestival等真っ盛りで、自分の年齢も考えつつ、違和感なく楽しめそうなものに顔を出すなどしております。

モントリオールジャズフェスティバルでは昨年に続いていくつかの公演を堪能しましたが、なかでも上原ひろみさんは圧巻でした。先日当地で日本人天才バイオリニスト少女の演奏に接したとき同様、とても同じ人間とは思えませんでした。それもこれも才能に加えて大変な努力の賜物でしょうから、やればできる、とまではいかないものの、努力すればかなり遠くまでたどり着けるのだなぁという学びがありました。だからといって、では何かに一念発起とはいかないところが我ながら少々情けないところです・・・。

6月下旬にケベック州の祝日を祝う州首相主催のレセプションに参加するため、はるばるケベックシティまで行って参りました。天候に恵まれ、テントも張られて青々とした芝生が広がる庭園で、州の要人や各国総領事らとグラスを傾けて様々な話題を肴に談笑する機会を得て、日帰りの強行軍もそれほど苦になりませんでした。

7月1日にはカナダデーのパレードに日本のグループの一員として参加させてもらい、初めて観る側ではなく観られる側に回り、なるほどこういうものなのか・・・とちょっとした感慨を覚えました。スピーチなどで大勢の人から注目されるのは仕事柄慣れていますが、結構原稿に目を落としていることが多く、聴衆の視線をあまり意識してこなかったので、今回はもの凄く見られている感じがして少々恥ずかしかったです。年初に日本から持参した浴衣に初めて袖をとおし、生憎小雨がぱらつく中でしたが、手に持った折りたたみ傘もやせ我慢で使わずに最後まで胸を張って歩き通しました。慣れない雪駄で足に少々擦り傷ができたのがいい思い出になります。

この一ヶ月ほど、公邸内外で3回ほどレセプションを開催し、館員一同準備や当日は忙しかったですが、主賓のみならず列席者の皆さまが喜ぶ姿を目にして大いに報われました。公邸では天気次第で少々狭いですがテラスも活用し、多少の非日常感を味わっていただけたものと思っています。さすがに8月はひと息入れることにしており、ほとんどの工事が停止されるvacances de la constructionもあるので、文字どおり静かな公邸になりそうです。

夏休みに思いをはせつつ、行事のない週末を利用するなどして最近あちこちに出かけておりますが、とにかくフライトの遅延やキャンセルが多くて凹みます。往路のフライトがキャンセルになって振替便に乗らざるを得ず、楽しみにしていたイベントや会合に出られなかったり、遅れても最終的には飛んでくれるだろうと希望的に考えつつ夜遅くまで搭乗口で待たされたあげくの果てにキャンセルが宣言されて翌日の日程に支障が出るなど、航空機を利用した旅への恐怖心が芽生えてしまいました。そうはいっても広い北米、飛行機なしではなにかと不便です。もはやコロナ禍だけが原因とも思えず、なんとかならないものか・・・と感じつつも、カナダ人に愚痴るのもちょっとなぁと思っていたら、最近カナダ人の方からこのところのフライトの状況はひどいよね・・・と切り出されることが続き、航空会社不信に陥っているのは私だけではないのだ、とほんの少し慰められました。

飛行機やクルマで、私の耳には十分訛りが強いモントリオールっ子からも、「あの辺は訛りが強いから・・・」と言われるような地域にも出かけてきました。結構身構えて行ったのですが、ふたを開けてみると確かにこことは違う感じでしたが、基本的な意思疎通は問題なくできました。しかし、それなりの国際的観光地で、訛りではなくdéjeunerとdînerといったフランスとは異なる基本的用語法で「ケベックあるある」な状況に陥るなど、相変わらず侮れません。

レストラン等でのチップのことを先月号で書きましたが、その後も様々な経験をしています。従来15%からだった端末での表示が18%からになっているのは日常茶飯事で、最高30%まで表示されていることがあるのには感動すら覚えます。その一方、地方で地元の方々を中心に賑わっているファミレスというかダイナーに入ったら、なんと表示が10%から始まっていてこれはこれで驚きました。そのお店では、席に通されたあと待てど暮らせど注文を取りに来てくれなかったり、3回お願いしてやっとお水のお代わりがもらえるなど、まさかこのレベルのサービスを前提にした10%ではないでしょうが、自分の受けたサービスに応じた額を打ち込んだのは言うまでもありません。少々器が小さいでしょうか・・・。

今号の後ろの方にありますが、引き続き日本に関連した行事がいろいろと開催されます。

私も時間の許す限り顔を出そうと思っておりますが、在留邦人の皆さまにおかれても、ケベコワ達に日本の文化や習慣を知ってもらうべく、積極的に参加して交流を楽しんでいただけるとうれしいです。

在モントリオール日本国総領事
齊藤 純