齊藤総領事挨拶(メールマガジン3月号)
皆さまこんにちは。
カナダでも今日からいよいよ「春」ですね!雪はまだまだ残っていますが、気温や日差しなど、日によってですが春の足音が聞こえてくる感じです。カナダ版三寒四温と言ったところでしょうか・・・。
先日待望のCabane a sucreに行ってきました。おととしの秋に着任した際、先任の他国の総領事から、ここケベックにはCabane a sucreなるものがあり、冬の終わりにあなたもきっと招待されることになると言われました。メープルシロップを使った様々な料理がこれでもか~と出てくるのでぜひ気をつけたらよい・・・とのアドバイス付きでした。コロナ禍もあり結局誰も招待してくれなかったので、今シーズンは予約して行ってきました。ドイツはミュンヘンのビール祭りであるオクトーバーフェストのような雰囲気のお店もあるようですが、初心者なのでおとなしめの店を選びました。話にたがわずたくさんの皿が並び、なんとか全品数回口に運びましたが、最後にずらっと並んだデザートはさすがにひと口ずつしか食べられませんでした。時代を反映してか店側もフードロスがなるべく出ないよう、こちらが初めてだと知るとどれくらい食べるかなど聞いてくれました。満腹になったら次は別棟で別腹のtire sur la neigeです!甘かった~!その後まだ雪深いメープルの森に入って、実際の収穫(というより採取でしょうか)の模様を目の当たりにしました。無色透明に見える樹液が、煮詰めるとああなるんだなぁ・・・とちょっと感動しました。別途招待も受けているので、来月また行ってきます。
4月から始まる令和5年度に向け、仕込みや意見交換のためにトロントやオタワに出張してきました。久しぶりに終日会議室に籠って討論したり、日本の公的機関の駐在代表たちと年度を通した協働について話したり、連邦議会議員たちとの人脈を構築して参りました。また、公邸での行事を再開するとともに、当地で活躍されている日本人の方々をお店に伺ってお話を聞く行脚も復活させました。外交という仕事は条約や共同声明等、字になるものを作ることはあっても、いわゆる目に見えるものを作ることはあまりありません。ここモントリオールで広い意味でのモノづくりに取り組んでおられる方々の努力と成果を目の当たりにし、さまざまなお話を伺うのは目から鱗が落ちることが多く、とても楽しいです。多少なりとも自分の業務に応用するとともに、できる範囲で応援して参ります。
さまざまなイベントにも引き続き積極的に顔を出しています。毎年3月8日は国際女性デーなのですが、当日開かれた女性の一層の活躍を応援する集まりにどういうわけか米英の総領事(両名とも女性です)とともに招待されました。ご存じの方も多いと思いますが、いくつもの国際的な機関が日本はまだまだ女性活躍の余地が大きいとしています。以前ニューヨークの国連代表部で人権問題を担当していた際、女性の人権という切り口で、各国代表に対して日本の政策を売り込みつつ、本国に対してはまだまだ努力の必要があると説く「股割き状態」になって苦労していたことを思い出しました。その日は、もっとがんばって!という意味で呼ばれたのか、最近多少なりとも状況に進展が見られると判断して呼んでくれたのか、こわくて聞けませんでした。
ビジネス面での往来が復活してきている話はこれまでも書きましたが、このところ芸術面でも復活の動きが見られて喜ばしい限りです。日本からではありませんが、モントリオール交響楽団の名誉指揮者である日系のマエストロKent Naganoが昨年に引き続いてタクトを振りにヨーロッパからお見えになり、お話しする機会を得ました。久しぶりの北米ツアーに来た鼓童はカナダではモントリオール公演のみでしたが、私が興奮冷めやらぬなかホールを出たら、ご存知嵐太鼓のメンバーがズラッと出待ちをしてました。今回で41回目となる国際アート映画祭にも、出品作品の監督が乗り継ぎにヒヤヒヤしながら日本からお越しになり、ご自分の作品への評価のみならず、当地の映画関係者との交流にも手応えを感じられたようです。メルマガ本体で触れていますが、4月後半には天才少女との呼び声が高いバイオリニストのHIMARIさんが当地で演奏されます。なんと聴衆からの声援?拍手?で入賞が決まるという極めて民主的な演奏会のようですので、私はもちろん足を運びますが、ひとりでも多くの方からのbrava!が飛ぶといいなと思っています。
記録的な早さで桜が咲き始めた日本がちょっとうらやましいですが、こちらのペースで展開していく季節を楽しんで参りたいと思います。
在モントリオール日本国総領事
齊藤 純
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