齊藤総領事挨拶(メールマガジン2月号)
皆さまこんにちは。
先日の寒波はケベック州のみならず大西洋州でも相当なものだったと聞きましたが、ケベコワ達が最近にはない寒さだった!と言っているのを聞きつけ、これで胸を張ってカナダの寒さを体感した!と言えるぞ、と密かに喜んでいます。もちろん北極圏は言うに及ばず、平原州と比べれば「何言ってるの?」ということなのでしょうが・・・。
寒さになど負けずに各種行事に積極的に参加し、人とも会っています。
先月末にケベックシティで州政府主催の領事団向け新年行事があったのですが、Biron国際関係・仏語圏大臣をはじめ、各国総領事の所掌に関係の深い大臣達が入れ替わり立ち替わり政策のプレゼンテーションをしてくれて勉強になりました。州首相もレセプションを主催し、ケベック州においてもようやく本来の形での「外交」が戻ってきたことを実感しました。
私が着任したときに国際関係・仏語圏大臣を務めていたMme Giraultが先日お亡くなりになりました。オンラインや対面で何回か意見交換をさせていただきましたが、とても気さくな方で、国際社会においてケベック州が進むべき道について力説されていたのが印象的でした。謹んでご冥福を祈ります。
モントリオールの中華街での旧正月イベントやケベックシティでの冬のカーニバルにも顔を出しました。風物詩はいいですね。前者では、中華文化圏の獅子舞の獅子はキャベツが好物?であることを知りました。ちなみにケベックシティへの二回目の列車旅では往復ともしっかり遅延し、はしゃいでいた初回とは打って変わってうーん・・・という感じでした。この関連では、ケベックシティからオンタリオ州の端までを結ぶ「高頻度鉄道」構想があるのですが、いつの日かそれが走るようになったらもう少し定時運行が確保されるのだろうなぁと思いました。「高速度」ではなく「高頻度」で、フランス語だと有名なフランス版新幹線のようなTGV (Train à Grande Vitesse、文字どおり高速鉄道)ではなくTGF (Train à Grande Fréquence)になりますが、TGVという言葉の響きに慣れた私にとっては耳慣れない言葉です・・・。この構想は主として連邦レベルの話ではありますが(かつ最近になっていろいろな声が聞こえてきます)、今月末から初訪日されるBiron大臣は新幹線に乗ってみると言っておられたので、どの程度日本の技術に感心して帰ってこられるかが楽しみです。
一時的な強烈な寒さはあるものの、長続きしないからか雪の付きや湖などの凍り具合も今一歩のようで、郊外に期間限定で登場するはずのicebridge(夏期はフェリーが就航している河が凍り、クルマで走れる)や、motoneigeのツアーもパッとせず、このまま春が来てしまうと「二度目の冬も満喫しました!」と言えなさそうなのが少々気がかりです。それでも、行事が入っていない休日は郊外の森などに出かけていってraquetteやfatbikeを楽しんでいます。人が少ない時間帯や場所を選んで森の中を進むと、キツツキがいて楽しいです。コツコツコツと音が聞こえてきて、立ち止まって上を探すと一心にくちばしを木の幹に打ちつけていて、なんと言うこともないのですが見入ってしまいます。木々に葉がないのですぐに見つかる上、遥か下に人間がいようが全く気にせずにエサを探しているので見ていてい(聞いていて)飽きません。公邸の裏庭にある小鳥の餌箱に時折cardinalがやってくるのも楽しいです。警戒心がかなり強いようで、他の鳥がついばんでいるのを近くの木からじっと見ていて、やおら飛んでくると少し食べてすぐに飛び去ってしまいます。
日本ではコロナが5類になる日も公表され、マスクについても来月から適用される新指針が発表されました。それらも相まってか、当地から訪日する方々が増えていることを実感しています。「弾丸出張だけど3年ぶりに日本に『戻れる』のが本当にうれしい!」「夏に出張するんだけど、家族を同伴して休暇も楽しみたいからお勧めの場所・コトを教えてくれ」といったコメントや依頼に接するとやはりうれしいものです。ひるがえって東部5州への日本人観光客の戻りは未だしといった感じで、今年の夏に期待したいところですが、ひと足先に日本からの留学生は徐々に戻ってきているようです。治安の良さが評価されていると聞きますが、それに加えて語学学習に関しては英語が「きれい」だという面もあると思っています。ケベコワに、(東部5州の)カナダ人の英語は総じてなまりがなくてきれいだという話をすると、当然だという顔をしつつ、(フランス語にはかなり強いなまりがある)仏語系ケベコワにしても、(母語ではない)英語はテレビや映画で身につけている部分があるので自ずとなまりのないきれいな英語になるのだという説明をしたり顔でされたことがあります。なるほど、と思わないでもないです・・・。
間もなく一年経ってしまうウクライナ情勢、トルコ南部での地震等気が滅入る話も多いですが、春の訪れを待ちつつ、上を(というより前を)向いて歩いて参りたいと思います。
在モントリオール日本国総領事
齊藤 純
- 過去の総領事挨拶はこちら