齊藤総領事挨拶(メールマガジン12月号)

令和5年1月20日

皆さまこんにちは。

私はこれまで「師走」が特に忙しいと感じたことはあまり記憶にないのですが、この一ヶ月は忙しかったです。

まずはなんと言ってもサッカーワールドカップ!

そこから!?という声が飛んできそうですが、わがニッポン代表の応援もさることながら、各国の勝ちっぷり(負けっぷりも)を観察して、12月にはとみに多かった領事団が顔を合わせる機会にそつなく声をかけるのも外交官としてのたしなみです。なかでもドイツ総領事とは、日独戦の前夜に顔を合わせており、その後日本が決勝リーグ進出を決め、残念ながらドイツの敗退が決まった日の夕方にも顔を合わせました。お互いのチームの健闘を称え合いましたが、彼女の心中いかばかりかと思いました。日本の躍進ぶりは領事団も皆知っていて、多くの総領事が惜しみない賛辞を送ってくれました。成田空港で出迎えていたファン同様、私もありがとう!お疲れさま!と声をかけたいです。

次はやはり生物多様性条約のCOP15ですね。11月半ば頃から日一日とPalais des congres周辺が要塞化していくのを見て、これはすごいことになりそうだ・・・と感じていましたが、終わってみると、これまで各地で開かれてきた国際会議で見られたようなデモ参加者が暴徒化するなどの不規則な事態は発生しなかったようです。

会議の中身も、各国代表団の長時間に亘るねばり強い交渉の結果、概ね好意的に受け入れられるものとなったようです。ここで「ようです」と書いたのは、私(と総領事館員)は交渉には直接携わらず、もっぱら日本の大代表団への対応、会議場内に設けられた日本関連ブースのPR、日本からの閣僚レベルの来訪者にケベックを知ってもらうといった業務に従事していたからです。閣僚レベルの方々には、データや経験を駆使していろいろと申し述べさせていただきましたが、プーティンもぜひ召し上がってみてくださいとお話ししたり、当地で活躍されている邦人の方々との間を取り持ったりしました。しっかり雪も降りましたが、皆さまモントリオールとケベックに好印象をもたれたのではないかと感じています。モントリオールを離れるフライトが毎回遅延していたのが玉に瑕で、我々もハラハラドキドキしましたが・・・。

COP15を巡っては同僚の各国総領事達の動きも極めて「多様性」に富んでいて、私の目には「へぇ~」や「ほ~」の連続でした。私の場合は上に書いたとおり国際会議における現地出先の概ね基本型(会議の中身には基本的にタッチせず、日本代表団が交渉に専念できるように側面支援する)でしたが、オタワにいる大使がたまたま(わざわざ?)この期間中に休暇を取っているので一部のイベントに国を代表して出席することが本国から求められた総領事、逆にオタワにある大使館から一切手出し無用と言われ、閣僚クラスが続々と本国から到着している頃公邸でクリスマス行事を開催していた総領事(さすがに私は欠席しました・・・)、会場内で閣僚を自ら次の用務先に案内するために部屋の外で待機していた総領事、果ては閣僚の来訪が諸般の事情で直前にキャンセルとなり、負担が軽くなって嬉しさを隠しきれない?総領事など実にさまざまでした。各国の首都に比べると小さくまとまっている領事団ならでは垣間見られた一面です。

自分自身として最も忙しく、かつ気苦労が多かったのは今月上旬のケベックシティ訪問でした。10月の州議会選挙を踏まえて新たな議会が召集され、新大臣も着任したタイミングを捉えて、かなりゴリ押しして州都に赴きました。そもそもその直前にプリンスエドワードアイランドに出張しており、往路便到着は深夜、復路便は早朝発という過酷な日程をこなしてちょっと疲れていたところに、あれよあれよという間に州閣僚との面会が詰め込まれ、もともとそれなりに重い案件も取り上げることにしていた訪問が朝から緊張の連続を強いられるものとなりました。

そんな中で、州政府関係者との面会を主目的として訪問したのは既に3回目になるのですが、なぜか州政府側から「着任後の公式訪問」(着任したのは昨年10月です・・・)と位置づけられ、州議事堂の高いところに日の丸がはためき、開会中の議場では議長の紹介により満場の議員からの拍手による歓迎を受けるなど晴れがましい場面もありました。また、州議会議長との面談では、貴官は自分が就任以来初めて会う外国代表であると言われ、恒例の芳名帳記入では一番最初のページにフランス語と日本語で謝意などを書き込む栄誉にも浴しました。いわば第二次ルゴー政権であるわけですが、今回の多岐に亘る意見交換を機に、日系企業が安心してビジネスを行える環境作り、閣僚の訪日による関係強化などをしっかりと働きかけて参ります。

12月号は普通なら一年を振り返るところですが、ひと月を振り返るだけでここまで引っ張ってしまったので、2022年の反省はもしかしたら年明けに・・・。

それでは皆さま、よい年をお迎えください。

在モントリオール日本国総領事
齊藤 純