齊藤総領事挨拶(メールマガジン11月号)

令和4年12月20日

皆さまこんにちは。

ついに来ましたね、冬が!

昨年、雪が降ったのでケベコワに「冬だね~」と言ったら、冬は12/21(冬至のことですね)からだと真顔で返され、以来ケベコワと季節の話をする際は慎重にしていますが、(東京出身の)日本人の感覚としては、雪が降ったら当然冬、というか、雪が降る前でもある程度寒くなったらもう冬なので、私の中では先日の初雪の日をもって冬ということにしています。

予報どおり夜半に降り始め、朝起きたらそこそこ積もっていて、日中もやまなかったので少々ハラハラしました。というのもその日の夕方に、私が着任して以来初めての政務レベル(要するに政治家です)の来訪者が日本から到着することになっており、空港はともかく道路状況が心配だったのですが、午後に入って止み、空港への往復も普段どおりにクルマが流れていたので事なきを得ました。来月には生物多様性条約の締約国会合(COP15)が当地で予定されており、その際も政務を含む大勢の来訪者がお見えになるようですので、万事遺漏なきよう準備を進めているところです。

先日米国のブリンケン国務長官が当地を来訪され、地元テレビ局の番組に出演して極めて流暢なフランス語でインタビューに応じておられました。最後にキャスターから、「フランス語がとてもお上手ですね」と声をかけられ、笑顔で「いえいえ」といった感じで返していました。私はあそこまでフランス語が上手な米国人(もちろん外交官を含めて)を見たのは初めてですが、その国務長官をもってしても「お上手ですね」と言われてしまうのを見て、以前ここに書いたような、お上手ですねと言われないようになりたいなどという浅はかな夢(?)は捨て、フランス語を褒められたら素直に「ありがとう!」と言おうと心を入れ替えました。その後も、この総領事はexcellentなフランス語を話す、だとか、きれいなフランス語を話す(お世辞にもきれいとは言えないのですが、恐らくケベコワなまりが入っていないという意味で言っているのだと思います)などとおだてられることがあるのですが、「いえいえ~」と笑顔で外交的に応じています。それにしてもフランス語は奥が深くて毎日が勉強です。

調子に乗って韓国映画をフランス語字幕で観るという暴挙に出たのですが、さすがに疲れました。私は朝鮮語は全くといっていいほどわからない上に、字幕が消えてしまうスピードが想像以上に速くてアップアップでした。大昔、まだフランスで研修中にDances with Wolvesというケビン・コスナー主演のアメリカ映画をフランス語吹き替えで観たことがあるのですが、4時間近くと長かったこともあり、疲労困憊して映画館から出てきたことを今でも鮮明に覚えています。フランス語の映画やフランス語吹替版はともかく、字幕を追うのはまだ早い・・・と感じざるを得ませんでした。

先日当地の日本語センターの卒業式・修了式に出席しました。9年間の補習校よりさらに長い14年間をセンターで過ごした子ども達が巣立っていく日でしたが、当地の学習環境で14年間日本語を学び続けるのは並大抵なことではないと思います。はなむけの言葉では、せっかくここまで日本語を勉強してきたのだから、なんとしても今後も日本語に接していってほしい、と心から話しかけました。その機会にセンターの視察もさせてもらったのですが、成人クラスでは皆さん一生懸命学んでおられ、ちょうどハロウィンということで小さなスパイダーマンやプリンセスがそこここを走り回っていて、楽しいひとときでした。

今年のハロウィンは平日だったこと、去年は当地にいた長女が就職のため日本に帰国したことから、公邸にはハロウィン飾りはしませんでしたが、周囲の家々の飾り付けは心なしか昨年よりおどろおどろしくなっていて、毎晩クルマで通りかかるたびに、ひとりで歩いたらちょっと怖いだろうなぁ・・・と思っていました。

風物詩と言えば、11月の第三木曜日は言わずと知れたBeaujolais nouveau解禁の日ですが、昨年解禁翌日にSAQに行ったら売り切れと言われて軽いショックを受けたので、今年は当日の昼休みに出向きました。解禁当日なのでお店を入ってすぐのところにでも陳列されていそうなものですが、一向に見当たりません。さすがにまだ売り切れてはいないだろうと思って店員に聞くと、今年SAQではそもそも仕入れていないと・・・。ということはアルコール飲料がSAQ専売であるケベック州では飲む手立てがないということになり、特段あのワインのファンではないものの、やはり話のタネにも当日飲まないと、と昔から考えている私としては残念な気分になりました。

幸いなことにしばらくこの話を書かないで済んでいたのですが、またCOVID19が勢いを取り戻しているようです。この冬はインフルエンザとのダブル流行なども取り沙汰されており憂鬱です。昨年の大晦日に翌日からの事実上のロックダウンが宣言された「悪夢」を念頭に、秋の早い段階からとにかく年内にできるだけ多くの方々にお会いしてお話を伺い、物事を転がすべく大車輪で活動してきたのですが、年が明けたら一体どんな世界が待ち受けているのかと思うと、期待より不安の方が正直大きいです。

それでも、外交官たるもの、常に希望を持って前向きに取り組んでいこうと思います。季節の変わり目でもあり、皆さま一層ご自愛ください。

在モントリオール日本国総領事
齊藤 純