齊藤総領事挨拶(メールマガジン8月号)

令和4年9月20日

皆さまこんにちは、

昨年秋に着任してモントリオールでの初めての夏を過ごしていますが、短い夏を目一杯楽しむのだ!とばかりに、これでもかとイベントが目白押しでかなり驚いています。

コロナ禍で3年ぶりに実施というイベントも多いようで、主催者も参加者もなおさら気合いが入っているのだろうなぁと想像しています。

先日オタクソンに行ってきました。この種のポップカルチャーイベントには日本では近づいたことがなく、唯一パリで Japan Expo の会場を少し歩き回ってみた程度で、実質初めてでした。日本発のポップカルチャーの多様な側面をそれぞれ楽しめるイベントになっていて、充実したコンテンツもさることながら、しっかりした運営にも目を見張りました。3年ぶりの対面での実施ということでいろいろな苦労もあったのではないかと推察しますが、関係者の努力に敬意を表します。 Masquarade と名付けられたコスプレ・コンテストで名誉審査員のような役を務めたのですが、授賞式の際フランス語で挨拶を始めたところ、 2000 人はいたであろう会場から割れんばかりの拍手と歓声が上がり、びっくりしました。公的な立場にいる者としては、やはりケベックではフランス語が必須だなぁと改めて感じたひとコマでした。登場したコスプレイヤー達は、衣装もパフォーマンスも甲乙つけがたく、皆さんステージの上で満足げでした。

その前に開催されていたfantasia 映画祭にも何回か足を運びました。市内数カ所で、日本映画を含むアジアの作品と fantastic (うまい訳語が思いつきません・・ ・)作品とが数多く上映されていました。こちらもボランティアスタッフ達が熱心に取り組んでいて、会場周りや進行等非常に整然としていて、安心して参加できました。観客の映画愛にもひとかたならぬものがあり、どちらかというと映画好きを自認している私としても大変うれしかったです。日本での公開前の作品もいくつかあり、主催者の持つ人間関係・交渉力等総合的な力にも感銘を受けました。

直近では祭ジャポンにも参加しました。これまで春祭りや桜祭り、屋台モンレアルなど数々の日本のお祭りイベントに参加してきましたが、このイベントも地域に根差して多くのケベコワ達で朝から大変な賑わいで、うれしかったです。

8月5日の夕刻には、これは絶対に外せないと着任当初から思っていた広島平和の鐘の行事に出席しました。モントリオール市との姉妹提携を記念して1998年に広島市から贈られた平和の鐘を、毎年日本時間の8月6日午前8時15分に合わせて撞き、犠牲者の方々のご冥福を祈るモントリオール市主催行事です。今年は3年ぶりにコロナ禍以前の形式に戻ることを期待していたのですが、諸般の事情により極めて簡素なものとなり残念でした。それでも、来賓として来て下さった市議会議長とともに鐘を撞き、黙祷を捧げ、最低限の行いはできたと感じています。来年は姉妹提携25周年かつG7広島サミットの年でもあり、もう少し幅広い方々とともに鎮魂したいと思っています。

ローマ教皇の歴史的な訪問がありましたが、着任以来常に意識している先住民への理解を一層深めるべくPow wowにも出向きました。いずれもchiefが温かく迎えて下さり大変光栄でした。当然のことながら伝統衣装や踊り・歌唱はそれぞれの特徴があり、「祭り」を楽しませてもらいましたが、独自の言語を維持することの難しさ等、先住民に共通する課題も伺い、カナダの歴史や多様性への認識を新たにする機会となりました。

共感いただける方も多いのではないかと思いますが、Construction holiday終了とともに市内各所での工事がますます活発になり、移動にストレスを感じています。公邸が所在する地区でも大規模な道路工事が行われていて、以前記した周辺の家の改築・改装工事と合わせて騒音に悩まされています。ニューヨークのマンハッタンに住んでいた頃は四六時中鳴り響いているパトカーや救急車のサイレン、タクシーや自家用車の派手なクラクションにいつの間にか慣れっこになっていたのですが、当地では冬の静けさとのコントラストが強すぎて少々つらいです。

NL州での山火事のニュースには正直驚きました。北米ではBC州や米国西海岸での話だとばかり思っており、在留邦人の方々がおられるSt. John'sに迫らないことを祈っていたのですが、この原稿を書いている時点ではunder controlのようです。この夏も日本を含めて世界各地で異常気象や自然災害が多発しているようで、地球の将来を心配せざるを得ません。

そして毎回この話で締めくくらざるを得ないのが残念ですが、ケベック州では秋には第8波が・・・という話も聞こえてきています(第7波が終結したともまだ聞かないのですが・・・)。皆さま引き続き感染対策に意を用いながらご自愛下さい。

在モントリオール日本国総領事
齊藤 純