齊藤総領事挨拶(メールマガジン7月号)

令和4年8月18日

皆さまこんにちは。

まずもって、安倍晋三元総理大臣のご冥福を心からお祈りするとともに、残されたご家族へ哀悼の意を表します。

民主主義の根幹である選挙の最中に、あのような蛮行が為されたことは極めて許しがたいことで、強く、強く非難します。

その後の参議院選挙がつつがなく実施されたことは、世界に対しても日本及び日本国民が暴力に屈せずに民主主義をしっかりと実行に移していくはっきりとした意思を表したものとして、歓迎すべきことと考えています。当館に在外公館投票にいらした方々にも敬意を表します。

私は前回の東京での外務省勤務の際、何回か総理官邸にて当時の安倍総理に担当案件についてご説明申し上げる機会があり、首脳会談にも同席したことがあります。執務室でのご説明の際は、僭越な表現ではありますが、リラックスした様子で私の説明を聞いておられ、説明する側としても過度に緊張せずにお伝えすべきことをしっかりお伝えできた記憶があります。首脳会談では、相手に伝えるべきメッセージは明確にかつしっかりと伝えておられたことが印象的でした。端から見ていても、会談が進むにつれ先方首脳が安倍総理への敬意を新たにしていく様子が看て取れました。

あの日は公邸での久しぶりのレセプションを無事終えて、満足感とともに就寝の準備などをしていたのですが、そこに事件の一報が飛び込んできました。ジリジリしながらテレビやネットにかじりついていたのですが、新たな情報が出てこなくなったこともあり、その日はそれで終わりにしました。

翌朝フランス語のニュースチャンネルをつけるとトップニュースとして扱われており、州首相、州国際関係相らのtweetに関する報告が総領事館の担当者らからもたらされました。連邦はもちろんのこと、ここケベック州でも衝撃を持って受け止められていることを認識したのですが、元総理がお亡くなりになったことを受けて実に様々な方々から私に対して弔意の表明が続きました。

その日(8日)は4回目のコロナワクチン接種に赴いたのですが、担当してくれた若い医師までが、私の名前から日本人と判断するや、お悔やみ申し上げますと言ってくれたのには驚くとともに、日本にとってのみならず、世界にとっても損失であったことが改めて実感されました。

衝撃で頭の中が空っぽになった感じもありましたが、自分の仕事はしっかり続けなくてはなりません。

前回の挨拶を書いて以降、昨年秋の着任以来初めてとなる東京からの出張者が来ました。これまでの在外公館勤務ではごく普通に東京から入れ替わり立ち替わり出張者や来客があったのですが、コロナ禍で、日本人という意味ではこれまで少数の総領事館員と在留邦人の方々との接点しかなかったので、かなり新鮮な感じがしました。その後当地でも日本でも感染者数が増加の一途をたどっていること、夏休み期間に入ったことなどもあり、今のところ続きが見えてきませんが、日本からできるだけ多くの関係者に当地に足を運んでもらい、ケベック州及び大西洋4州の魅力・利点を感じてもらいたいと思っています。

ケベック州においては、10月初めに予定されている選挙もこれあり、それまでは政治レベルで訪日される方々はいないようですが、その後を見据えて「種まき」をしています。それ以外では、近いところでは、日本で主として教育機関において英語を教えるJET(Japan Exchange and Teaching)プログラムの参加者たちが8月中旬に日本に向かうことになっており、先日OB/OGとともに公邸に招待し、レセプションを実施しました。皆が皆、日本に行くことが楽しみで仕方がないといった面持ちの若者達で、日本のこれからを担う世代に対して協力してくれることをありがたく、喜ばしく思いました。中にはその日の朝、勤務予定地を聞かされて、自分が初代であるとも聞いて驚くとともに、ワクワクしていると率直に話してくれる青年もいて頼もしかったです。

6月24日のケベック州の祝日、7月1日のカナダ・デーに際しては当地で様々な行事が行われ、私も招待を受けるなどして雰囲気を楽しみました。特に24日は、ここぞとばかりにケベコワ達が盛り上がっていて、なるほどこういうものか・・・と感心しました。

今モントリオールはFantasia映画祭の真っ最中ですし、来月にはオタクソン、祭ジャポンも盛大に実施されます。天気予報では今週は暑いぞ~!と警鐘を鳴らしていますが、連日30度を超えて湿度も猛烈に高い日本や、熱波に見舞われている西ヨーロッパに比べればはるかに過ごしやすい当地の夏を、こういったフェスティバルに参加しながら楽しみたいと思っています。

ほぼ毎回のこととなってしまいますが、新型コロナにはくれぐれも気をつけて、皆さまご自愛下さい。

在モントリオール日本国総領事
齊藤 純