齊藤総領事挨拶(メールマガジン3月号)
皆さまこんにちは。
気温がプラスの二桁になる日もあったりして、季節が少しずつ進んでいることを感じます。日差しも力強さを増している気がします。前号で、モントリオールの冬は思ったほどでもない、などと不遜なことを書いたせいか、ある日オフィスからの帰宅時に比較的軽装で(もちろんコートを羽織り手袋もしていましたが、基本的には東京での冬の通勤スタイル)少し外を歩いたらものすごく寒い思いをすることになり、滅多なことを口にするものではないと反省しました。
その後はpoudrerieの日もあり、天気予報でケベック州の他の地域に関してよく耳にしていた事象を実際に体験しました。辞書をひくと「地吹雪(カナダ)」とありますが、そもそも地吹雪を経験したことがない上に(日本にいたころ青森県での地吹雪体験ツアーが人気だったことがあり、参加してみたいと思いましたが、当然のことながら必ず出遭えるものでもなく、断念しました・・・)、上述の経験に懲りて(懲りなくてもですが・・・)わざわざ外に出ることはせず、オフィスや車の中に閉じこもっていたので「体感」はしませんでしたが、視界は遮られるわ、道路は滑りまくるわで、通勤路でもそこかしこで事故を起こしたり立ち往生しているクルマがあって、さすがはモントリオールの冬だ!と変なところで見直しました・・・。
オタワをはじめとする各都市での反ワクチンデモも過去の話になった感があり、皆さまがこれを読まれる頃には北京パラリンピックも終わっていて、いずれもいろいろ思うところはありましたが、時事ネタについては旬を大事にしたいと思います。
そういう意味では、ケベック州においてはコロナ関連の各種規制措置が、マスク等の一部を除いてついに解除され、喜ばしい限りです。もちろんコロナが消えたわけではなく、引き続き自分と周りの人々の身を守る行動が必要ですが、「普通の」生活ができることのありがたみ、安心感は何ものにも代えがたいです。総領事館においても、ケベック州政府の要請に基づき一部で続けていたテレワークを基本的に終了させ、全員の顔が揃うようになりオフィスに活気が戻ってきました。もちろん、二年近くに亘ったテレワークですので、ある日を境に完全に元に戻すこともなかなか難しく、臨機応変に対応していくことにしています。なお、窓口受付時間の変更・一部予約制の導入等がありますので、このメルマガの後段をご参照下さい。
規制緩和を受けて、私の着任以来初となる公邸でのレセプションをようやく開催しました。招待客の皆さまが積極的にお運びいただき、このような集まりは自身にとって実に二年ぶりでありまことに喜ばしい、招待に感謝するとの言葉も聞かれ、やはり人間は社会的動物なのだなぁと実感しました。初回ということで至らない点や苦労もありましたが、お客さまの心からの笑顔のおかげで疲れも心地よかったです。日本に所縁がある方々や、日本のファンになっていただける方々が集まれる場を、今後も積極的に提供していきたいと考えています。
そしてこの際、ウクライナ情勢に触れないわけにはいきません。皆さまがこれをお読みになる頃にどのような状況になっているかを想像することすらためらわれますが、ロシアによる侵攻開始以降連日報道される現地の情勢には言葉もありません。日本政府の一員である以前に、ひとりの人間として、ロシア政府及び軍が行っていることは断じて受け入れられず、強く非難します。政治系の案件を扱うセミナーには青系統のシャツに黄色のネクタイをして参加するなど、大変ささやかながらもウクライナの人々に連帯の意を表しています。
先月、近年のカナダの人口増加率がG7の中で断トツであったとの統計が発表されました。着任以来、ケベック州では日本同様少子高齢化が進んでいるという話をよく耳にしてきたので少々意外でしたが、カナダ全体を見れば移民人口が貢献しているからだと理解し、納得しました。人口は国力の極めて重要な源泉だと思っている私にしてみれば、人口増はうらやむべきことです。そもそも国情が異なる各国の移民政策の是非や優劣を議論することにどれほど意味があるのか私は疑問に思うのですが、それでもカナダでは先進国の中では比較的うまくいっていると感じます。カナダの移民政策は日本と大幅に異なることは言うまでもありませんし、先進国の中でも大変ユニークな試みだと思いますが、移民についての市民感情のようなものも、私がこれまで勤務してきたどの先進国とも異なっており、非常に興味深く見ています。
先日、お金に関するSMSがスマホに届き、あり得ない内容ではなかった(というよりむしろちょうど連絡を待っていたような内容だった)こと、そもそも日本ではいざ知らず、当地で私の携帯の番号を知っている方・機関は非常に少ないこともあり、ついクリックしてしまいましたが、ちょっと進んだところで待てよ、と思い直し中断しました。いくつか情報を打ち込んでしまったので、慌ててそれらは変更しましたが、フィッシングかなぁと館内で相談したら「そうだと思います!」と言われてしまいました。自分だけは大丈夫…というよりも、ここでこのタイミングでそんなことが起きるはずはない、との思い込みのなせる業で、我ながら情けないですが、館内で似たような経験をした者もいるようですので、皆さまもくれぐれもお気をつけください。本件に関しては過去に領事メール等で注意喚起をしているようです。
モントリオールには四季がある!と自慢げに力説するケベコワに結構出会います。そんなの日本では当たり前・・・と思うのですが、彼らが言う春がどういうものなのか、来月から少しずつわかるのかなと期待しています。凍った路面での転倒などに気をつけて、春の訪れを待ちましょう。
在モントリオール日本国総領事
齊藤 純
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