齊藤総領事挨拶(メールマガジン1月号)
皆さま、
寒中お見舞い申し上げます。
今回も私のつたない文章を読み始めていただきありがとうございます。
クリスマスや欧米流のreveillon du jour de l'anを楽しみにしていましたが、あれよあれよという間にさまざまな規制が厳しくなり、一転して静かな年末年始となりました。こんなこともあろうかと日本から本をたくさん持参したのですが、家にこもりっきりでは心身の健康に差し支えるので近くの森に毎日のように出かけて雪を踏みしめて散歩をしたり、帰宅するとゲームはしないものの紅白歌合戦や箱根駅伝ダイジェストをじっくり見たり、ネットサイトをウロウロしたりしてしまい、あまり読書は進みませんでした・・・。それでも執務に必要な知識を仕入れるべく何冊か読破できたのは幸いでした。
この原稿を書いている時点でコロナ関連の規制の多くは維持されており、総領事としての活動もかなり制約されています。できる範囲で総領事館のfacebook等で発信してきた面会、訪問、意見交換等もパタッと止まっており、今はオンラインで再開させるべく手はずを整えつつある状況です。「館長のモントリオール生活」もかなり単調なものとなり、発信材料にこと欠いています。皆さまにおかれては同じような状況にある方も多いと思います。また、感染して苦しんでおられる方もいれば、寝る間も惜しんでたたかっている医療従事者の方もおられると思います。コロナ禍前のようにとはいかないまでも、今より平穏な日々が早く戻ってくることを祈らずにはいられません。前回お知らせしたSt. Valentinのフェスティバルは、残念ながら延期になったと連絡がありました。
昔カナダ人の友人が米国と一緒にされることをかなり嫌がっていて、そりゃ日本も中国と一緒くたにされたらいい気持ちはしないよな・・・となんとなく思っていましたが、これだけ長い国境で接しているのにアメリカ人とはかなり違うことがようやくわかってきました。もちろんカナダ自体、広大な国土にさまざまな出自の人々が住んでいるので、ケベコワを見てカナダ人がわかった気になるつもりはありませんが、同じ(でも少し違う、笑)フランス語を話していてもフランス人とは違うし、一時間もドライブすればたどり着く超大国の人たちともまた違う、結構日本人に近いところもあるカナダ人気質を、本の中だけでなく少しずつ肌で感じられるようになってきました。 この点については日本の若い人たちの感じ方をぜひ聞いてみたいと思っています。自分としては頭の中は実年齢マイナスα(二桁)のつもりでいるのですが、そもそも日本で育ってきた環境(時代)が異なる世代の目にはどう映るのか、とても興味があります。ただ残念なことに、コロナ禍で日本人留学生の数はかなり減っていると聞きます。その上この総領事館のメルマガは、在留届を提出された方々に送信されているので、往々にして在留届をスキップしてしまう若者たちにはこの声も届かないのかもしれません・・・。今年はまず大学の学長さんたちに挨拶に行こうと思っていたのが出鼻をくじかれた格好ですが、まずは画面越しにお会いするなり、規制が緩んでからアポ取りにいそしむなりしようと思っています。日本とケベックとの学術交流の一層の活性化は私のテーマのひとつです。
昨年秋の着任以来、モントリオールの冬は厳しいからこそ楽しまなくてはいけないのだ!とこちらの方々に異口同音に言われたのですが、コロナ禍で劇場、映画館、美術館等が閉まってしまい、積雪もまだ少々足りないとのことで、屋内でも屋外でもまだ楽しめていません・・・。スケートはあまり得意ではないので歩くスキーや、せっかくの機会なのでスノーモービルにも挑戦したいと考えています。来月の挨拶では少しは体験談を書けることを期待しています。そんな中、寒いけれどよく晴れた週末の一日、Estrie(日本のガイドブックだとイースタン・タウンシップスですね)に出かけてきました。ワイン街道を少し巡ってみたのですが、こんな時期に訪れるもの好きはさすがに少ないと見えてdegustationはしていないものの、店を開けているワイン農家もあり、試しに買ってみました(まだ飲んでません・・・)。マダムと話していると、聞いたことのないブドウ品種がポンポン飛び出してきてついていけませんでしたが、店内のパネルを読んでみると、昔はフランスでも使われていた品種、寒さに強い品種(当然ですね)等のようでした。ケベック産ワインはSAQ以外でも売っているので敷居が低いですね。観光地図を見ると、Pont couvertがそこかしこにあると書いてあったので少し巡ってみました。確か昔ヒットしたマディソン郡の橋もそうでしたよね、年がわかりますが(笑)。小さい頃住んでいた米国で両親がいろいろと旅行に連れて行ってくれたのですが、Disney Worldなどと並んで少し色あせた赤い橋の印象もなぜか残っていて、懐かしくなりました。
どうもとりとめもない文章になってしまいましたが、仕事の合間にこんなことを考えたりしたりしている・・・という一端を紹介させてもらいました。
それでは、2022年も館員一同、業務に邁進して参りますので、皆さまなにとぞよろしくお願いいたします。
在モントリオール日本国総領事
齊藤 純
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