齊藤総領事挨拶(メールマガジン11月号)
早いものでこの原稿が皆様の目に触れる頃には私のモントリオール生活も一か月になります。
まだまだ公私ともに落ち着いたと言える状況にはありませんが、毎日いろいろなことを見聞きし、へ~と驚くこともあれば、なるほど…と頷くこともあり、自分がいかにこれまでカナダのことを知らなかったかを思い知らされることがしばしばです。
カナダ人外国人を問わず少しずつ当地の方々と会い始めていますが、今年は暖かいね~というのは多くの方から聞かされます。 -40℃に備えて、これだけはまず調達せねば!慌てて厳寒期用重装備を買いに走った身にとっては、まだまだこれからであることはわかっているものの、少々拍子抜けの感じです。折しも英国グラスゴーでCOP26が開催されていますが、地球温暖化を肌で感じています。
当地に住んでみての一番の衝撃はやはりケベック訛りのフランス語(Quebecois)です。以前ベルギーのブリュッセルで勤務した際、オランダ語系住民の一風変わったイントネーションのフランス語を耳にしたり、数の数え方を中心にフランスとは異なる語彙を頭に入れるのに努力を要したりしました。
しかし当地の訛りの強さと独特の語彙は想像以上で、頻繁に電子辞書のお世話になるのはもちろんのこと、そこに(カナダ)の注釈付きですら載っておらず(つまり文脈からしてどう考えてもフランスとは異なる意味で使われているものの、辞書が「沈黙」しているので完全には意味が分からない)、総領事館の秘書やアシスタントに質問を飛ばす毎日です。それ以前に、たとえばテレビを見ていて、キャスターの発言はともかく、街の声などは単語自体が聞き取れないこともあって愕然としています…。
今後地方に出張して地元当局者と面談する際は一体どうなってしまうのか、まさか面前で辞書に頼るわけにもいかず、とにかく文脈で判断する推理能力と言いますか、応用力をつけないといけないと痛感しています。
恐らく当地に来たフランス語話者の誰もが通る道だとは思いますが、この経験は恐らく世界中のどの都市・地域でよりもユニークなものではないかと思い、面白い街に来たなぁ…と感慨に浸っています。これはインド英語(主としてヒンディー語の影響を受けたイントネーションが強烈)やSinglish(シンガポールで話される中華風?英語)の比ではない!というのが、これまでそれなりにいろいろな国で勤務したり出張したり、彼らと議論を戦わせた経験から導かれる素直な感想です。
これ以外にもお話したいことは多々あるのですが、次の機会を待ちたいと思います。
引き続きモントリオール総領事館をよろしくお願いいたします。
在モントリオール日本国総領事
齊藤 純
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