井上満男元モントリオール日本語補習校専任校長への旭日単光章伝達式伊澤総領事祝辞(2019年3月26日)
本日は,井上満男氏への叙勲伝達式にお集まりいただきありがとうございます。このような栄誉ある素晴らしい式典を開催する運びとなり,大変喜ばしく思っております。
井上氏は,平成30年度秋の叙勲に際し,これまでの当地におけるご功績が讃えられ,栄えある「旭日単光章」を受章されました。この度は誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。
本日は,モントリオール日本語補習校関係者の皆様に多くお集まりいただいていますが,改めまして,井上氏のこれまでのご功績について紹介させていただきます。
井上氏は,昭和61年から平成24年まで,26年間の長きに亘りモントリオール日本語補習校講師を務められ,平成11年以降は,ご退官されるまで同補習校初代専任校長を兼任されました。
同補習校においては,当初,同校生徒の父兄から選出された運営委員長が,学校運営及び教務運営等の責任者となり,校長職の役目も兼ねていました。その後,教育指導の継続性を重視する観点から,学校運営と教務運営の責任者を分け,教務運営については経験のある教員から校長を選出することとし,平成11年に専任校長制度が導入されました。その際,人望も厚く教務経験・知識とも豊富であった井上氏が初代専任校長として選出されたと伺っております。
井上先生が日本語補習校の講師及び校長でおられた26年間,受け持たれた生徒の総数は130名以上となり,その卒業生達は,今日,モントリオールのみならず,世界各地で活躍されていると伺っています。
また,井上先生は,「北米東部地区教員研修会」と呼ばれる補修授業校の先生方への研修会や「北米東部補習授業校連絡協議会」と呼ばれる北米東部地域における補習授業校相互の情報交換や協力の機会に積極的に参加され,そこで得られた経験や知識を通じて,モントリオール日本語補習校の教育内容の改善・充実に努められました。
私事ですが,たまたま自分の息子も現在同補習校にお世話になっており,様々な機会に補習校の活動に触れる機会がありますが,先生方はとても熱心に授業に取り組まれ,また,生徒たちもしっかり先生方の指導に従い,勉学に励んでいます。モントリオール日本語補習校は,世界中にある我が国の補習校の中でも,極めてレベルの高い,素晴らしい学校であると思います。
子どもたちを安心して預けられる,そしてしっかりとした教育を受けさせて頂けるこのような学校の存在こそが,当地における邦人社会,あるいは日系カナダ人の方々にとって大きな心の支えであることは言うまでもありません。井上氏は,このような学校を創り上げられた大貢献者であります。
井上先生は,モントリオール日本語補習校以外でも,当地日系コミュニティーにおいて様々なご活躍をされてきました。
当地の在留邦人研究者とそのご家族を中心に設立された互助会「モントリオール・アカデミー会」においても昭和47年から8年間,幹事を務められました。同会は,今日もなお,在留邦人研究者間の情報交換と交流の場として,重要な役割を果たしてきています。
また,井上先生は,今日も,モントリオール日系文化会館の広報誌「モントリオール・ブレテン」の編集委員も務められ,当地の日系カナダ人,日本人を含む日系コミュニティーの文化・生活情報等を発信されておられます。
更に,日本語の普及促進の試みの一つとして,当館の文化事業として毎年開催しておりますケベック州日本語弁論大会におきましても,井上先生は平成24年から審査委員長をお引き受けいただいております。
同弁論大会は,ケベック州内教育機関で日本語を学ぶ学生が日ごろの学習成果を発表する好機となっており,日本語学習者の学習意欲の増進,日本語教育の普及・振興を促すとともに日本語を通じた日加両国間の相互理解を図る大会となっております。
以上のような功績を踏まえて,井上氏は,既に,ご退官の平成24年に,外務大臣より表彰されました。
以上ご紹介した通り,井上先生は,モントリオール日本人補習校の発展に大きく貢献されると共に,長きに亘り,当地において日本語教育の普及と日系人コミュニティーの発展に尽力され,こうした活動を通じて,日加両国間の相互理解の増進に貢献されました。今回の叙勲は,こうした長年にわたる氏の功績に対する日本国の感謝と賞賛の証であります。
また,モントリオール日本語補習校関係者の皆様にとりましても,大変喜ばしく,励み,誇りとなる叙勲なのではないかと思っております。
今後のモントリオール日本語補習校のますますのご発展と,井上満男氏のご健勝を祈念いたしまして,お祝いの挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
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